イタリア料理のプロ工藤シェフに聞く①おすすめレシピ

イタリア料理のプロ工藤シェフに聞く①おすすめレシピ

みなさん、こんにちは。本日は、慶應義塾大学があることで有名な横浜市港北区日吉のイタリアンレストラン「アクイロット」へ伺い、お店のオーナーシェフ工藤堅太朗さんに料理やレストランへの想い、家庭でもできるプロの味について教えていただきました。
2024年5月取材・文編集部N’s KITCHEN編集部

シェフおすすめレシピ

編集部
私たちが運営するN’s KITCHENは、小中高生の育ち盛りのお子さん向けのお弁当レシピを紹介しています。親御さんはわが子に多くの食材を食べてもらいたいと思っているものの、お子さんたちの多くは、まだ多くの食材に触れる機会が少なかったり、機会があっても好き嫌いによって食べなれない食材からは敬遠してしまったり…といった時期。そういう親御さんやお子さんに食材を美味しく活用できるレシピを提供したいと思っています。そんな私たちの願いに合ったレシピを教えていただけますか?

工藤シェフ
では、人生の中で何かの「きっかけ」になれるような初めての体験を提供したいという想いも込めて、わさびを使ったレシピをご紹介します。生クリームの中にわさびを溶かし込んでパスタのソースにするのですが、わさびの鼻につんとくる感じがしないので、お子さんに初めてわさびを食べてもらう時にピッタリだと思います。生クリームとわさびはとても相性がいいので、お店でもよく一緒に使っています。

わさびデビューのお子さまにもぴったり「わさびと生クリームのクリームソース」

材料2人分(調理時間5分)

生クリーム 200cc
わさび チューブ3~5cm(お好みの量で)
玉ねぎ(みじん切り) 大さじ2
バター 大さじ2
しょう油 小さじ1
トマト(みじん切り) 大さじ1
パスタのゆで汁 大さじ1

作り方

1. フライパンにバターを入れ、中火で玉ねぎを炒める。
2. 玉ねぎに火が通ったら、生クリームを加え1~2分煮る。
3. パスタのゆで汁、わさび、しょう油を加えて、あわせる。
4. 仕上げにトマトを加える。

アレンジ

・きのこや野菜などの具材を追加してもOK。
・ソースをパンにつけて食べてもおいしい。
・白身魚やチキンソテーのソースとしても使える。
・わさびはお好みの量でOK(自分では少し多いなと思う量を入れても意外と大丈夫です)。

実際に目の前で作っていただき試食しました。

編集部
おいしいです!全然つんとする感じがなくて…でもわさびとわかる味ですね。

工藤シェフ
普通のクリームソースとは違って爽やかさがありますよね。お子さんもおいしく食べられると思います。

編集部
これなら初めてでも嫌がることはなさそうですし、むしろわさびが好きになりそうですね。わさびは家庭の冷蔵庫にありますが、お刺身を食べるなど限られた時にしか使わないので、いつの間にか賞味期限が過ぎてしまっていた…ということも多いかと思います。食べ物を無駄にしないという点でもありがたいですね。

工藤シェフ
よかったです。ぜひわさびを知るきっかけとして食べてもらえたらと思います。

編集部
先ほど調理場面を見せていただきましたが、想像していたよりも多くわさびを入れていました。

工藤シェフ
そうですね。けっこう量を入れても辛みを感じません。もし賞味期限が間近に迫っているものがありましたらチューブの残りを全部入れてもいいと思います。クリームシチューに入れてもいいですし、豚のバラ肉が入ったものであればわさびを入れることで重たい感じがなくなり食べやすくなります。

編集部
なるほど!そして、作っていただいたものにはトマトが入っていました。トマトの赤みが見た目もかわいいですね。

工藤シェフ
トマトがあると色鮮やかになりますが、なくても問題ありません。あと、バターや玉ねぎも、なくても大丈夫ですよ。生クリームがそのままだとシャバシャバしてしまうので、少し煮詰めてからわさびを溶かし、塩としょう油を入れるといいと思います。
生クリームは、わさびだけではなくのりとも相性がいいです。焼きのりでも味付けのりでも問題ありません。生クリームに溶かしこんでもおいしいです。そこにわさびを加えて作った「のりとわさびのクリームソース」は、焼き魚や鶏肉にかけてもおいしいですね。魚は白身のものでしたらすべて相性がいいです。

編集部
先ほどのソースは家で作ったらどこかで買ってきたの?と言われそうな味です。

工藤シェフ
味付けも家だとチキンコンソメがあると思いますが、チキンコンソメよりも和風だしやかつお節、しょう油など和の調味料との相性がいいです。

編集部
美味しいレシピをご紹介いただき、ありがとうございました。「わさびのクリームソース」とても作りやすいレシピでおいしかったです。

シェフの想い

編集部今回レシピをご紹介いただいた工藤シェフにお店のことやシェフご自身のことも伺いました。

編集部
アクイロットは、2024年6月19日で7周年を迎えられるとのこと。本格イタリアンに日本の四季を織り込んで提供するという点、そして、そのお料理を日本のお客様へ提供するということも大切にしているとホームページで拝見しました。お店のこだわりを改めてお聞かせください。

工藤シェフ
当店はおかげさまで2024年6月に丸7周年を迎え、8周年目に入ります。イタリアンというのは土着の料理、郷土料理です。うさぎが豊富に取れる地域ではうさぎを、魚が豊富に取れる地域では魚を食べる、といった風習のもとに生まれた料理です。もしイタリア人が日本で生まれ育ったとしたら、日本の食材をどのように使ってイタリア料理を仕上げるだろうかと考えながら料理を作っています。
私は大葉が好きでよく使いますが、もしイタリア人だったらこれらをどのように使うか。和の食材は、自分になじみがあるだけでなく自分のアイデンティティでもあるので、それをイタリアの郷土料理にどうやって織り交ぜて使い着地させるか…、それを考えて調理しています。

編集部
お店を運営されるにあたり、大切にされていることはありますか?

工藤シェフ
いかに食事の時間を総合的に満喫してもらえるかを常に心がけています。おいしいというのは大前提としてありますが、それにプラスして、食事の時間をどれだけ楽しく提供できるかということを考えています。食事とは、主観が伴うものだと自分は思っています。例えば、告白して振られた時には何を食べてもおいしく感じない。しかし、告白して付き合い始めた初めてのデートで食べたものでしたら何でもおいしく感じますよね。好きな人とだったら何を食べてもおいしい。食事とはそういうものだと思います。
また、日吉の町に気軽に寄ってもらった人たちの人生に関わりたいという思いがあります。イタリアンに興味を持つきっかけになる場所になれたらうれしいです。初めてワインの美味しさを知った、初めてイタリアのパスタのおいしさを知った、初めてイタリア料理の面白さを知った、など。家族みんなで集まった初めての店だった、といったイタリアンに直接関係ないことでも構いません。その先の人生の中できっかけになれるようなお店になりたいというのを意識して店づくりをしています。


編集部家庭でできるおすすめレシピに加え、工藤シェフのイタリアンへの想いやお店づくりへの想いを伺いました。今回ご紹介いただいた「わさびと生クリームのクリームソース」も、初めてお子さんがわさびを食べるきっかけを作れるのなら…という工藤シェフの想いが込められています。アレンジも万能なので、皆さまぜひ作ってみてください。次回は、家庭で作るパスタ作りのポイントを伺います。お楽しみに。


今回取材させていただいた工藤シェフのお店は...
東急東横線日吉駅から徒歩3分にある「アクイロット」。地元の人々や仕事帰りの人々でいつも賑わい、気軽に入れる本格イタリアンとして、地域で愛されています。工藤シェフの心のこもったメニューは、ランチは1週間、ディナーは1か月の期間で変更されるそうで、旬の食材、本場イタリアの食材をバランスよく組み合わせた素材本来の旨さが味わえます。
イタリアンレストラン アクイロットホームページ(https://aquilotto-yokohama.com/

カテゴリ
  • N's KITCHENをtwitterで送る
  • N's KITCHENをLINEで送る
  • N's KITCHENをfacebookで送る