子どもの良い睡眠のために気を付けるポイント(後編)
健康維持のための指導やアドバイスをされている医師の有田先生に子どもの睡眠にについて伺う第2回(後編)です(前回のコラムはこちら:第1回)。前回は必要な睡眠時間や質の良い睡眠が取れているかどうかのチェック方法について教えていただきました。今回は子どもの睡眠について、日常生活で気を付けることについて教えていただきました。
2024年5月取材・文N’s KITCHEN編集部
睡眠について日常生活で気を付けるポイントはありますか。
朝は朝日を浴びることが大切です。お子さまを起こすときは、まずカーテンを開けて寝ている部屋に朝日が入るようにすると良いでしょう。遮光カーテンをお使いの場合は少しカーテンを開けておくのをお勧めします。また、日の出が遅い冬の朝や雨の日は、お子さまも起きるのが辛いということを保護者の方が理解して、部屋の明かりを工夫されると良いと思います。
入眠時に気を付けることはありますか。
入眠時は目に直接光が当たらないようにしておくことが大切なので、部屋の電気は暗くしましょう。お子さまが暗闇を怖がる場合は、目に直接光源が入らないような間接照明を使うと良いでしょう。スマートフォンやテレビを見ながら眠りにつくという状況も避けましょう。可能であればリビングの照明も夜は暖色系にして、少し暗くできると良いですね。入浴は寝る直前ではなく寝る2時間ほど前に汗をかきすぎない程度に済ませ、体の芯が少し冷えて手は温かい状態で布団に入るのが理想的です。
第1回(前編)で、起きてから14時間後に分泌が増えるホルモン、メラトニンが入眠をうながすというお話をしましたが、幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンにもリラックスして入眠しやすくなる働きがあります。赤ちゃんが眠りにつく時に背中をトントンと優しくたたくことがあると思いますが、その手の温かみや優しい刺激、スキンシップは大きくなっても効果があります。お子さまが嫌がらないようであればぜひ試してみてください。
最後に保護者の方にメッセージをお願いします。
子育てをしていると、心配ごとは日々たくさん出てくると思います。とはいえ、今お子さまが元気に過ごしていれば大丈夫です。寝る時間や環境について、あまり神経質になりすぎないでくださいね。保護者の方が自分を責めてイライラしてしまうのは、ご自身にとってもお子さまにとっても良くないことですので、できる範囲で構わないと心がけておくと良いと思います。
有田先生。ありがとうございました。子育ては長く続いていくものですから、神経質になりすぎないことは大切ですね。教えていただいたポイントに気を付けながら、おおらかな気持ちで我が子の日常生活を見守っていけるといいですね。
有田実織先生
耳鼻咽喉科専門医、アレルギー専門医、認定産業医
都内の耳鼻咽喉科専門病院でアレルギー疾患をはじめとした耳鼻咽喉科外来を担当すると共に、産業医として多様な事業所において労働者が健康かつ快適な作業環境のもとで仕事ができるようにサポートしている。
N's KITCHENでは、先生のお話しに出てきた、メラトニンの原料になるトリプトファンを含む「枝豆」「ツナ缶」「しらす」、その吸収を高めるビタミンB6を含む「とうもろこし」「アスパラ」「ズッキーニ」「しらす」、興奮を抑えてリラックスさせるGABA(γ-アミノ酪酸)を多く含む「トマト」「なす」「にんじん」など、眠りのための食品を組み合わせたお弁当レシピをご紹介しています。こちらもぜひご覧ください。