イタリア料理のプロ工藤シェフに聞く②パスタ作りのポイント
横浜の港北区日吉にあるイタリアンレストラン「アクイロット」で、日本食材を大切にし、本格イタリア料理を提供されているオーナーシェフ工藤堅太朗さん。イタリア料理のプロ工藤シェフに聞く第2回です(前回のコラムはこちら:第1回)。今回はパスタ作りのポイントを教えていただきます。
2024年5月取材・文N’s KITCHEN編集部
家庭でできるパスタ作りの3つのポイント
編集部
家でパスタを作るご家庭も多いと思います。ミートソースやナポリタン等、好きなお子さまも多いですよね。家で作る時のプロの技をぜひ教えてください。
昆布だしでパスタを茹でる
工藤シェフ
日本の水道水は軟水で、ヨーロッパの水道水は硬水なので、日本でイタリアンを作ろうとすると、でき上がりが若干変わってきます。軟水でパスタを茹でると茹で上がりにパスタの表面が少し柔らかくなってしまうので、私は昆布から取っただし汁を使ってパスタを茹でて、硬水で茹でた時のようにパスタの表面がしっかりしまるようにします。そうすると口当たりがよくなりますよ。
編集部
硬水と軟水で茹で上がりに違いがでるとは考えたこともなかったです。おもしろいですね。そして、イタリアの硬水に近づけるために、まさか昆布を使うなんて2度ビックリです。
パスタを茹でる時はしっかり食塩を入れる
工藤シェフ
1回しか茹でないから…ともったいがらずに、パスタを茹でる時はしっかり食塩を入れてください。そうすると、茹で上げただけでおいしくなります。また、茹でるとパスタの表面のボコボコしたところに溶けた食塩が入るので、お店ではパスタソースを作る時には食塩をあまり入れません。水1Lあたり10~20gの食塩を目安に入れてみてください。食塩をしっかり入れて茹でて、バターとオリーブオイルを絡めるだけでもすごくおいしくなりますよ。
編集部
茹でる時の塩も大事なのですね。私はまさに、気持ち程度の少しの塩しか入れていませんでした。工藤シェフのお話をお聞きして、茹でる時の塩、欠かさないようにしなくちゃ!と思いました。
すぐに食べない時は「パスタは常温」「ソースは冷蔵庫」で保存する
工藤シェフ
茹でてしばらく経ってからパスタを食べる時は、パスタは茹でた後にオリーブオイルにさっと絡めてください。そして冷蔵庫には入れずに常温で保存し、パスタソースを再び加熱する時に一緒に混ぜて温めると、おいしく食べることができます。
編集部
お弁当作りにも活用できそうですね。お弁当でパスタを持っていく時は、パスタにオリーブオイルを絡めて、パスタソースはスープジャーで保温して、それぞれ持っていくことで、おいしく食べられますね。パスタ作りのポイントを教えていただきありがとうございました。どれも簡単にできそうだったので、さっそく試してみたいと思います。
工藤シェフのお弁当の思い出
編集部
工藤シェフのお弁当の思い出はありますか?
工藤シェフ
はい。中学時代はお弁当だったので、毎日母が作ってくれていました。母のお弁当が大好きでした。特にメニューのリクエストはせず、毎日何が入っているのかを楽しみにしていました。
編集部
良い思い出ですね。お母様も、毎日楽しみにしてくれていたのでしたら、作り甲斐があってうれしかったと思います。
料理の道に入ったきっかけ
編集部
工藤シェフが料理の道へ進んだきっかけは何だったのですか?
工藤シェフ
大学の頃にアルバイトをしたパスタ屋さんがきっかけです。その頃は劇団で演劇をやっていて、いくつかのアルバイトをしながら役者を目指していました。その中のひとつがパスタ屋さんでした。その時は料理に全然興味がなく、フロアのサービスで入っていたのですが、たまたま厨房が足りないということで厨房に回されて料理をするようになり、そこから料理に興味を持ち始めました。それがなかったら料理は今もしていなかったと思います。
編集部
すごい出会いだったということですね。もしそれが和食屋さんだったら和食の道だったかもしれないですし…。まさに運命の出会いです!
横浜市港北区日吉にあるイタリアンレストラン「アクイロット」のオーナーシェフ工藤堅太朗さんに、料理への想いと自宅でできるプロの技を教えていただきました。工藤シェフたくさんお話を聞かせていただきありがとうございました。
今回取材させていただいた工藤シェフのお店は...
東急東横線日吉駅から徒歩3分にある「アクイロット」。地元の人々や仕事帰りの人々でいつも賑わい、気軽に入れる本格イタリアンとして、地域で愛されています。工藤シェフの心のこもったメニューは、ランチ1週間、ディナー1か月の期間で変更されるそうで、旬の食材、本場イタリアの食材をバランスよく組み合わせた素材本来の旨さが味わえます。
イタリアンレストラン アクイロットホームページ(https://aquilotto-yokohama.com/)