全国の包丁を砥ぐ少年 河本陽向くん × N’s KITCHEN #3-2

以前掲載した、「取材しました_全国の包丁を砥ぐ少年 河本陽向くん」のコラムに続き、今回はお料理に欠かせない道具 包丁のお手入れを、陽向くんから学ばせてもらいたく、包丁砥ぎの手順とポイントを取材しました。また、後半では包丁砥ぎ1,000本の目標を達成し、今まさに挑戦中の目標についても伺いました。
2020年12月取材・文N’s KITCHEN編集部
実際に包丁砥ぎを見せてもらえますか?
「はい!」…と快く、普段作業しているという家の外に出て、お庭で砥いでくれました。

手順
1. まず面のかたいスポンジで、クレンザーを使って汚れを落としていきます。赤錆であればこの時点でだいぶ取れます。

2. 次に、荒砥石か中砥石で砥いで、返りを出します。砥ぎ癖が付いている刃物があれば、この時点で角度を調整します。

3. そのあと、仕上げ砥石で返りを取り、最後に切れ味をチェックします。

★ポイント
・砥石と包丁の削りカス(ドロ)を流さないこと。
このドロが大事な研磨剤となります。
・砥ぐ角度を一定に保つこと。
刃と砥石の角度を15度に保ったまま(10円玉2枚分が入るくらい)砥ぎます。これがブレてしまうと、グラグラして鋭い切れ味に仕上がりません。
包丁は毎日使うものなので、直接会えたら、「こう手入れした方が切れ味が保てます」とか、 包丁によって「ここで切って欲しい」とかお伝えしています。

陽向くんの新たな挑戦!
2021年1月29日に目標にしていた1,000本の包丁砥ぎを達成しました。2020年の春からチャレンジを続け、1年足らずでの達成。陽向くん、本当におめでとうございます!
そして彼は今、新たな目標に向かい次の一歩を進んでいます。
2021年3月6日から3月28日までの23日間、プロの自転車冒険家 西川昌徳さん主催の”RIDE A LIFE JOURNY 2021”に参加します。(今まさに、旅の途中ですね。)
このチャレンジは何年も前から彼の心に決めていたようです。ようやく募集年齢に達し、2021年にチャレンジ資格を得ました。
半年前に、陽向くんから固い決意を打ち明けられてからは、応募直前までご家族で何度も何度も話し合いを重ねたそうです。チャレンジ期間は、小学校最後の生活だけでなく、卒業式も欠席することになります。
そして、ご家族での話し合いの結果、以下の5つを踏まえ、陽向くんのチャレンジを応援することにしたそうです。
1.なりたい自分(冒険家)に近づく貴重なステップと感じている事。
2.世界を自転車で旅した西川さんと繋がりを持たせていただいてきた経過の中で憧れており、彼と仲間と”ゼロから共に創る旅”そこに魅力を感じている事。
3.自分を磨く。挑む。掴む。チャンスを貰えるなら何を置いても今 一番この企画に面白みを感じる事。
4.頭を下げてでも必ず納得していただけるだけの熱意があり、学校や約束をしていた方々に課題やご提案をいただけるなら必ず応える努力を実践し結果を見せること。
5.参加費用は自身で担う事。(今までの彼自身の貯金と未来預金を先出し)
この決意を、陽向くん自身で学校やクラスのお友だちに伝えたところ、先生もみんな泣きながら応援してくれたとのこと。
お母さま奈緒さんのfacebookに、この報告が載っています。
https://www.facebook.com/kawamoto.nao.5
新しい世界に挑戦するというのは、勇気のいることですよね。これだけの固い意志を持って、チャレンジを決めた陽向くん、そして彼の挑戦を背中押しされたご家族の皆さま。陽向くんが思いっ切り挑戦できるのは、全力で陽向くんを応援しているご家族の愛情もあるからだ、と感じました。
陽向くんの新たな挑戦、N’s KITCHEN(エヌズキッチン)編集部一同、応援しています!
最後に陽向くんからお弁当を作っている方とN’s KITCHEN愛読者の皆様へメッセージ
「お弁当は食べる人のことを考えて、気持ち込めて作ると思います。僕はだし巻き玉子が得意です。うまく巻けて美味しい!!と言ってくれたらうれしいです。
僕も包丁を使ってくれる人を思って、砥いでいます。
包丁にも、依頼してくれた人にも、喜んで欲しいです。
「包丁の切れ味いいと、料理が楽しい!!」とたくさんの人に言ってもらえました。
美味しいお弁当を作る人も食べる人も、みんな幸せな顔になれば良いなと思います。
包丁は何十年も使えます。
お弁当の味も何十年もきっと忘れられない味となりますように。僕もお母さんのお弁当が好きです。


さゆ