世界の食文化 ベトナム社会主義共和国 vol.2

世界の食文化 ベトナム社会主義共和国 vol.2

世界各国の食文化についてお話を伺うシリーズ、ベトナム社会主義共和国(以下ベトナム)の後編です(過去のコラムはこちら:vol.1)。引き続きベトナム北部出身のグエンマイさんにお話を伺います。
2021年10月取材・文編集部N’s KITCHEN編集部

ベトナムにはお弁当の習慣がない?その理由とは

Q6. 夕食は「家で家族と」が基本スタイルなのですね。朝はどんなものを食べますか。

多くの家庭では、朝食は家ではなく、屋台などに食べにいきます。朝起きて、出かける支度をしてからみんなで屋台に行って食べるというスタイルです。みんなで屋台に行って食べるというスタイルです。屋台には、フォーやビーフン、おこわ(ターメリックで色づけられたもち米に、豆や肉などが入っているもの)、おにぎり、おもち、バインミーなど、本当にたくさんの種類があります。日本ではバインミーは昼食のイメージが強いと思いますが、ベトナムでは朝食として食べられるのが一般的です。学校の前にもたくさん屋台があるので、子どもたちは学校の近くで朝食を購入し、友だちどうしで校庭で食べたりもします。フォーなどの麺類が食べやすく、子どもたちに人気です。

Q7. お昼ご飯は何を食べますか。

小学校は午前と午後の授業の間に、お昼休みがあります。お昼は学校で給食を食べるか、保護者が学校に迎えに行って家で食べさせて、また学校に送っていく行くケースもあります。お昼休みには、お昼寝の時間も含まれていて、全体で約1時間半あるので、家に帰る時間も十分あるんです。だから、お弁当を学校に持って行く習慣はないですね。中学校、高校は、授業が午前か午後のどちらかなので、学校でお昼ご飯は食べず家で食べます。ベトナムでは三世帯で暮らしている家庭が多いので、両親が仕事をしていてもおじいちゃんおばあちゃんが送迎や昼食の準備をしてくれることが多いですね。

大人も、お弁当を仕事に持って行く習慣はあまりないですね。大人のお昼休みも1時間半くらいあるので、外に食べに行くか、家に食べに帰るといった感じです。工場などでは給食があります。オフィス勤務だとしても、職場には冷蔵庫や電子レンジを置いていないところがほとんどなので、夏場はお弁当の保管に困りますし、温めて食べれないので、スープなどは持っていけないんですよね。最近は職場にお弁当を持ってくる人もいますが、少数派です。

Q8. 大人も子どももお弁当の習慣はあまりないのですね。休日に家族で出かける時はお弁当を持って行きますか。

家族で出かける時も、お弁当を持って行く習慣はあまりないですね。ベトナムでの移動はバイクが多いので、あまりたくさんの荷物を持てないんです。また、町に屋台がたくさんあるので、わざわざ家から持っていかなくても、色々なところで食べられるので、お弁当箱が家にない、という家庭も多いのではないでしょうか。以前は、農業に関わっている人たちは、お昼ご飯におにぎりを持っていくこともあったようです。今はそれもあまりなく、その文化を懐かしんで家でおにぎりを作って食べることもある、という感じですね。

Q9. ベトナムのおにぎりはどんなものですか。

ベトナムのおにぎりは、日本のように味付けをせず、炊いたご飯だけを丸くにぎります。日本のものより大きいサイズで、食べる時はケーキみたいに切り分けて、塩や砕いたたナッツ、ごまなどをつけて食べます。

Q10. 米やおかず等食べているものは似ていますが、食事の習慣は色々と違うのですね。

そうですね。日本に来て感じたのは、ベトナムではあまり家に食料のストックをしないことです。日本では冷凍庫に肉などをストックしていますが、ベトナムではほとんどしません。その都度、市場やスーパーマーケットに買いに行くことが多いですね。また、ベトナムには屋台が本当にたくさんあるので、朝食、昼食には困りません。日本では朝食を外で食べようとしてもなかなか、家のすぐ近くに開いているお店がなく、コンビニで買ってもどこで食べようかとなってしまいます。幼い子どもがいると、メニューの選択肢も少ないと感じ、結局家で朝食を取りますね 。 ベトナムは外食がしやすく、三世帯同居でおじいちゃん、おばあちゃんが子育てや食事を手伝ってくれるので、特に女性は自分の時間が作りやすいという利点があります。一方で日本はスーパーマーケットで購入できる食材の種類は多く、色々な料理を作れるというメリットがあります。最近ではベトナムの食材も手に入りやすくなり、助かっています。


編集部今回お話を伺い、屋台文化や家族の暮らし方が、日本とは大きく異なると感じました。一方でご飯、おかずとスープという組み合わせの家庭料理は、日本の食事によく似ていると感じました。また、ニョクマムは辛くない(どちらかというと塩味)ということなので、和食にも醤油のように使えそうですね。さらに、ベトナム内でも北部と南部では味付けが違うということがわかったので、ベトナムへ行って両方体験してみたいです。グエンマイさん、色々と教えていただきありがとうございました。

カテゴリ
  • N's KITCHENをtwitterで送る
  • N's KITCHENをLINEで送る
  • N's KITCHENをfacebookで送る

世界の食文化 ベトナム社会主義共和国 vol.1

こちらもおすすめ