世界の食文化 ベトナム社会主義共和国 vol.1

世界の食文化 ベトナム社会主義共和国 vol.1

海外の料理って、知っているようでよくわからないこともありますよね。ある国の料理は食べたことがあるしレストランにも行ったことがあるけど、家庭ではどんなものが食べられているのか、お弁当文化はあるのか、子どもたちはどんなものを食べているのか…など考えると、知っているようで知らないことの方が多いことに気が付きます。そこで、世界各国の食文化についてお話を伺うシリーズを始めます。
2021年10月取材・文編集部N’s KITCHEN編集部

シリーズ第1回目はベトナム社会主義共和国(以下ベトナム)です。お話を伺ったのは、ベトナム北部出身のグエンマイさんです。マイさんは現在、横浜市神奈川区にあるクリエイティブ日本語学校でお仕事をされています。10年近く日本で生活されていて、ベトナム出身のご主人、就学前のお子さまが2人いらっしゃいます。

日本と同じ米文化ベトナムの家庭料理とは?

Q1. ベトナムの家庭料理について教えてください。

ベトナムは、日本と同じで米を主食にしています。 肉か魚、野菜、肉や野菜につけるタレ、スープとライス、が一般的な食事です。日本のように個別に盛り付けたりはせず、大皿で出してそれぞれが自分のお皿に取って食べるスタイルです。スープは、器に取ることもあれば、ご飯にかけることもあります。肉は、豚肉が一番多く、鶏肉、牛肉と続きます。タレは、ニョクマム(魚を塩で漬け込んで発酵させてできる魚醤)に薬味を入れたニョクチャムです。野菜は炒めたり煮たりと、食材によりさまざまですね。サラダとして食べることもあります。スープは、つるむらさきが夏の定番ですね。小エビやカニはそのまま入れずに、ペースト状につぶして、スープにします。

写真中央上の小鉢に入っているのが、ニョクチャム

Q2. ニョクマムは各家庭に必ずある調味料ですか。

そうですね。ニョクマムは日本の醤油のように各家庭に必ずある調味料です。魚から作ったニョクマムが一般的ではありますが、中にはエビやカニから作られたものもあります。ニョクマムに薬味を入れてつけダレ(ニョクチャム)にするのが一般的で、その味付けは料理によって変えます。魚を食べるときは唐辛子とにんにくを入れます。生春巻きを食べるときは砂糖やレモンを入れることもありますね。共通に味付けしたニョクチャムをテーブルに準備しておいて、それぞれがさらに好みの味付けにすることもあります。ベトナムの唐辛子は日本のものと比べてとても辛いです。ですから、大人用の味付けは子どもには辛すぎるので、にんにくや唐辛子を少なくしたり、ニンニクは小さく切ると苦い味がでてしまうので、大きく切って香りだけつけたりするなどの工夫をします。
ニョクマム以外に使う調味料は、塩、砂糖、ごまなどでしょうか。酒は家庭料理ではあまり使いません。また、ベトナムの北部と南部で料理の味付けの傾向が違います。南のほうが甘い味付けになることが多いですね。

Q3. 写真を見ると、野菜がたくさん使われていますね 。

ベトナムでは市場で野菜が安く手に入りますし、熱帯なので年中食べられます。庭で育てている人も多いです。どの家庭でも、野菜をたくさん食べていますね。とはいえ、冬は野菜の生産量が少し落ちるので、値段が高くなります。キャベツや大根、かぶ、にんじん 、高菜などで漬物をつくり、それをサラダ代わりに食べることもあります。日本ではベトナムの香味野菜といえばパクチー、のイメージかもしれませんが、それ以外にもネギ、大葉、ディル(セリ科のハーブ)などたくさんあります。

Q4. 卵はどのように食べますか 。

卵は基本的には日本と同じように卵焼きにします。味付けは、塩が多いのですが、 ニョクマムを入れる人もいますね。

Q5. その他、よく食べるものはありますか。

大人は、ノンフライヤーで仕上げたピーナッツを、おつまみとして食べることも多いですね。ビールとよく合います。これは、夕方屋台でも食べられます。ベトナムの人たちは仕事帰りに、友だち同士で屋台に立ち寄り、ビールを飲んで、ピーナッツをつまむケースが多いですね。とはいえ、晩ご飯までには帰宅して家族でご飯を食べます。大体仕事が18時に終わり、夕食は19時半頃なので、それまでの時間で屋台に立ち寄るイメージです。


編集部ベトナムと日本、同じ米文化でも、調味料、食べ方など、似ているところと似ていないところがありますね。近日公開予定の続編では、ベトナムのランチ事情についてご紹介します。

カテゴリ
  • N's KITCHENをtwitterで送る
  • N's KITCHENをLINEで送る
  • N's KITCHENをfacebookで送る

世界の食文化 ベトナム社会主義共和国 vol.2

こちらもおすすめ