栄養教諭 管理栄養士 村上まさ子先生 × N’s KITCHEN #1-1
教えていただきました「いたみにくいお弁当」
お弁当を作る上で気になる衛生管理 いたみにくいお弁当って?
だいぶ涼しくなってきましたが、お弁当を作る上で、やはり気になるのは衛生管理。食中毒のリスクにもなるので、傷んだものを食べさせるのは避けたいですよね。
そこで今回は、食のプロ 栄養教諭 管理栄養士として15年以上もの間、中高生の食育を担当されてきた東京家政大学附属女子中学校・高等学校の村上まさ子先生に、N’s KITCHEN編集部がいたみにくいお弁当作りについてお話を伺いました。
ズバリ!いたまないようにする工夫とは
お弁当が傷む=細菌が繁殖すること
細菌は主に20℃~50℃で繁殖します。お弁当箱の中がこの温度になりやすい夏場は特に注意が必要ですね。
調理前にできること
・お肉と同じ調理器具は、他では使わない。使い分けをする。
調理中
・生のまま詰める野菜や果物はしっかり洗い、水気をきれいなペーパー等で取りのぞく。
・しっかり加熱すること。
食中毒の発生件数が1番多いのは鶏肉。新鮮な鶏肉ほど、カンピロバクターという菌がついていて、少量でも食中毒を発症してしまいます。鶏肉を加熱する時、電子レンジはムラができてしまうので、できるだけ焼く、煮る、蒸す、揚げる等の調理法が良いです。また、中心部まで熱を通せるように、成型するものは丸型より平べったくする方が良いでしょう。
盛り付け
・常温までしっかり冷ましてからお弁当に詰める。
・詰めるときに汁をしっかり切る。
・汁気がある和え物や煮物は仕切カップを使用する。
・真夏は、完全加熱されている冷凍食品等を有効活用するのも手。
・夏場は、ごはんとおかずを分けるのも良い。
・おむすびは素手では絶対に握らない。
・夏場は、保存、抗菌のためにも濃い味付けは有効ですが、塩分過多にも注意が必要。
・長時間保存や炎天下での保存の時には、保冷剤を有効活用すると良い。
村上先生のご紹介
村上先生は、とてもおだやかでやさしく、どんなことも丁寧に教えてくださいました。あたたかい笑顔で大きく包み込んでくださる方です。そのやわらかい物腰とは反面に、今までの取り組みをお聞きすると、育ち盛りのお子さんの栄養管理や食育について熱心に取り組まれており、15年以上ものプロとしての道のりも感じました。
東京家政大学附属女子中学校では、中学校3年間完全給食制で、1年間同じメニューはないそうです!村上先生は、献立作成も担当されています。そのこだわりをお聞きすると、一汁三菜の日本型スタイルを取り入れ栄養バランスバッチリのメニュー、週に2回はセレクトメニューの日とし子どもたちが好きなものを楽しく選べるようにしたり、ひなまつりやクリスマスなどは行事食を出し、より一層楽しめる工夫がたくさんつまっていました。
また、人気のあるメニューだけにはせず、成長期の身体づくりを考え、免疫力や食物繊維たっぷりの和食や魚料理、中華や洋食など幅広い献立作りを意識していらっしゃるとのこと。献立表を拝見すると、お魚料理も子どもたちが食べやすいようにいわしにサルサソースがかかっていたり、見た目にもおしゃれで、レストランに出てくるようなお料理でした。こんな給食が毎日食べられるなんて、うらやましいですね!
村上先生は、いずれ食事を自分で管理していけるようにと、子どもたちの将来を大事に考え、中学3年間で「和食文化と食事マナー」「朝食の重要性」「ダイエットの正しい知識」などなど、6回のプログラムにわけての指導もされています。
東京家政大学栄養学科を卒業
産業給食会社本部管理栄養士、東京家政大学栄養学科教学助手を経て
平成17年より東京家政大学附属中高給食室栄養教諭
編集部