お肉はなぜ加熱するの?
お肉を食べる時、みなさんはどんなふうに調理しますか?
お刺身のように生で食べる場合もまれにありますが、ほとんどは焼く、煮る、揚げるなど「加熱する」のではないでしょうか。N’s KITCHENのお弁当レシピにもお肉はよく出てきますが、なんらかの形で熱を加えています。
お肉を加熱する理由は、次のふたつです。
1. 細菌や寄生虫をやっつける
2. 食べやすく、おいしくする
1については、寄生虫は55℃、5分以上の加熱で死滅するそうです。(内閣府食品安全委員会)細菌は種類によりますが加熱することで減らせます。特に豚肉は、中までしっかり火を通したほうが良いそうです。
2の食べやすく、おいしくなるポイントのひとつは、やわらかさです。お肉に含まれるタンパク質の種類と量、そして、温度や加熱時間によってかわります。お肉は、タンパク質と脂肪からなっています。大まかに説明すると、加熱するにつれタンパク質がかたくなり、65℃~80℃くらいで、一番固くなります。さらに加熱すると、タンパク質の一種であるコラーゲンがやわらかくなり、同時に脂質も外に溶け出すので、やわらかく、なめらかな食感になります。
加熱についてはできるだけゆっくり、高い温度まで加熱すると、よりやわらかく仕上がるそうです。風味(におい)もおいしさの大事なポイントです。生肉には血液の匂いがありますが、加熱するとそれが消え、私たちがおいしいと感じる匂いになります。加熱して肉の組織が壊れると、調味料もしみこみやすくなります。加熱時間が短めの料理だと、あらかじめ包丁で肉の繊維を切っておいたり、冷凍して繊維を壊すなどの準備をしておくと良いそうです。
お肉を加熱することは、安全面でも、味の面でもメリットがあるのですね。
はこ
参考文献『肉の機能と科学』朝倉書店, 2015.