養蜂を通して社会貢献 聖学院みつばちプロジェクト②

養蜂を通して社会貢献 聖学院みつばちプロジェクト②

その2 活動のこれまでとこれからについてインタビュー

東京都北区にある、聖学院高等学校には「聖学院みつばちプロジェクト」という、有志の高校生によるプロジェクトがあり、約20万頭のミツバチを飼育しています。そこで採集した非加熱、無添加のはちみつは、一般向けに販売もしています。2020年には合同会社And 18’sを立ち上げ、さらに2022年には、はちみつを使ったジンジャーエールの開発、商品化も行いました。

前回のインタビューでは、商品ができるまでの過程をご紹介しました。今回はプロジェクトが立ち上がったきっかけと、活動の詳細、今後の展望について伺いました。顧問の相澤先生は合同会社「And 18’s」の顧問でもあり、高校2年生(2022年取材当時)の篠原さん、西さんがともに副社長を務めます。

顧問の相澤睦先生
篠原飛陽さん
西大河さん
2人とも高校生とは思えない堂々とした受け答え、プレゼンをしてくれました。

Q. プロジェクト立ち上げの経緯について教えてください

相澤先生:聖学院みつばちプロジェクトは2016年から、私ともう一人の教員の「学校で養蜂をやりたいね」という立ち話からスタートしました。養蜂をしてとれたはちみつを販売し、その活動を通して社会とかかわれるようなプロジェクトにしていけたら、という思いは当初からありました。当時私が高1の担任をしていたので、クラスの生徒に話をし、クラスの企画としてスタートさせました。始めた頃はこんな都会ではちみつが採れるのか、不安に思っていましたが、実際にやってみるとハチたちが近隣の公園や緑地からはちみつや花粉を集めてきてくれました。

Q. 活動の幅がどんどん広がっていますね

相澤先生:活動を続けていく中で、ジャムづくり、商品開発、合同会社の立ち上げ、インターネットでの販売、クラウドファンディングなど、活動の幅を広げてきました。インターネットでの販売、ジンジャーエールの開発は生徒の発案が形になったものです。私はサポート役で、推進についてもできるだけ生徒に主体的に進めてもらうようにしています。

篠原さん:新しい活動については、先生からアイディアをいただくこともありますし、先輩たちの活動を見て、やってみたいと思うこともあります。他のプロジェクトで得た経験をみつばちプロジェクトの問題解決に使うこともあります。現在の商品開発部長は、ジャムを使った新たな商品開発に取り組んでいます。それも先輩たちの姿を見ての動きなのかもしれません。

Q. 聖学院のはちみつの特徴について詳しく教えてください

相澤先生:聖学院高等学校「みつばちプロジェクト」のはちみつの魅力のひとつは非加熱であることです。非加熱とは、いっさい加熱処理をしないで製造したはちみつのことで「生はちみつ」と呼ばれます。はちみつには150種類もの有効成分が含まれているのですが、加熱処理をすることで熱に弱い成分は効果が薄れてしまいます。そこで我々は製造過程で加熱をせず、フィルターでろ過していきます。熱加工をしていない分、香り、酵素、熱に弱い有効成分も生きて残っていますので、生はちみつを一度味わうと他のはちみつは食べられなくなるという方もいますね。

西さん:はちみつを大量に加工しようとすると機械化せざるを得なくなり、作業効率を上げるため温度を上げないと処理できない、つまり熱加工が必要となります。手で加工するからこそできる無添加の生はちみつは、私たちの強みにもなっています。

Q. Craft Honeyのおすすめの食べ方はありますか

篠原さん:加熱してもそれなりには香りや風味も楽しめると思いますが、そのまま食べたり、ヨーグルトに混ぜたり、パンをトーストした上にハチミツをかけるハニートーストがおすすめです。私は最近ハニーマスタードチキンが好きで、お弁当に入れたりしていますよ。

Q. 活動を続ける中で良かったことは何ですか

篠原さん:販売の時と採蜜の時ですね。まず販売の時は、直接購入者の方とお話しして「この商品美味しいからまた買いにきたの」と言ってもらえると自分がやっている意味を感じることができますし、自分の手でつくったものを自分の手で販売するという経験を通し、ひとつの商品が手元に届くまでどれだけの人が頑張ったのか想像できるようになりました。採蜜については、遠心分離機からはちみつが流れ出るところを見ながら「これをつくるのに4か月くらいかかったな、自分がんばったな」という達成感を感じます。このような、自分の努力を自分で実感できる体験をしたいからこそ、活動を続けているんだと感じます。

西さん:私はこれ以外にも様々なプロジェクトに関わっています。みつばちプロジェクトでは高校生ながら、予算100万円を超える商品開発に関われるのが魅力だと感じています。また、他のプロジェクトの経験がこのプロジェクトに活きたり、このプロジェクトでの経験が他のプロジェクトにつながると考えています。この学校の環境と周りの生徒のモチベーションの高さにも刺激を受けます。

相澤先生:プロジェクトは有志による活動で、生徒たちは部活や他のプロジェクトがある中でなんとか時間を見つけて動いています。部活を続けながら自分で隙間時間を見つけて欲しいと思っています。活動内容については、高校生だからこの程度というのではなく、高校生がここまでやるのかと言われたいですね。生徒たちを見ていて、活動の範囲がどんどん広がっていくのを感じますし、彼らのデザイン力も商品も一般の商品と並べても全く遜色がないと感じます。これからも生徒たちが持っている力を十分に発揮できる場を提供していきたいですね。


聖学院みつばちプロジェクトは、養蜂を通して、食について、社会とのつながりについて、組織について、様々なことが学べるプロジェクトだということがわかりました。日々の勉強、部活動も行いながらここまでできるのは本当にすごいと感じました。お忙しい中取材をさせていただき本当にありがとうございました!(編集部)

聖学院中学校・高等学校

東京都北区にある私立男子中学校・高等学校。キリスト教精神に基づく人間教育、学習指導、体験学習が教育の3つの柱となっている。部活動とは別に様々なプロジェクトがあり、生徒たちはプロジェクトへの参加を通して様々な体験をし、学ぶことができる。
聖学院中学校・高等学校ホームページ

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養蜂を通して社会貢献 聖学院みつばちプロジェクト①

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